今日はシャロンの三回忌。
元繁殖犬のシャロンは推定年齢11歳で亡くなりました。
今回は短かい犬生を振り返ってみます。

保護犬を飼うとはどういうことか?
命日の今日、シャロンの話をする良い機会と考えました。
命に向き合う飼い主としての責任や、これから保護犬を飼いたい方に読んで頂けたら嬉しいです。
保護犬を受け入れられるようになるまで

2016年、当時27歳の私は犬が飼いたかった。
テレビで保護犬の存在を知り、殺処分を減らす一歩を私も踏み出したい!
その決意は、愛護団体へ足を運んで崩れ落ちました。
保護犬を見て思ったこと
- 病気で見た目の変形が怖い
- 近づくと威嚇してきて怖い
- 様々な理由からニオイが強い
保護犬を飼えないと思いました。
ここにいる子は、なりたくてこんな姿になった訳じゃない。

分かっていても頭が追い付かなかった。
想像とあまりにもかけ離れていて、泣くことしか出来ませんでした。
当時の葛藤
- 結局自分はキレイゴトしか言えない偽善者だ
- 助けてあげたい気持ちすらエゴじゃないか
- 私みたいな奴に飼われる犬は可哀想じゃないか
私は無類の犬好き。どんな姿でも愛せると思っていたのに。
保護犬を通して自分の醜さを知り、自分が嫌いになりそうでした。
その反面、

せめて1匹だけでも!幸せな犬生を送らせてあげたい!
保護犬と一緒に生活したい気持ちも大きくなっていきました。
私を必要としてくれるなら親になる


愛護団体3度目の訪問。
犬たちを心底カワイイと思えるようになっていました。
その違いに自分の決意を感じ、犬を飼う資格を得たと実感。
(エゴでも)犬から選ばれるのを待つと決めていました。
そんな時、元繁殖犬のシャロンと出会う。


シャロンは人見知りが酷く、ゴミ箱の裏に隠れるような子。
抱っこしようと抱き上げると、オシッコをパタタタタとちびります。


愛護団体では旦那の周りには犬だかり。私の周りにはシャロンだけ。



シャロンが私を望んでくれている!
抱っこをしてもオシッコをチビることもない。
この子が私を選んでくれてる気がして、家族に迎え入れました。
若くして飼う。周りの反感は凄かった


周りの大人たちの反感と心配
シャロンを迎え入れたのは、今の旦那と同棲をはじめて1ヶ月後。
結婚を前提の同棲ではあったものの、別れない保障がない。
様々理由が重なっての同棲だったこともあり、貧乏でもありました。


周りの大人からは「あり得ない・責任がない」と強く言われました。
本当に飼えるのか心配もありました。
両親に相談せずに決めたので、母からも無責任だと怒られたことを覚えています。
病気になればお金もかかるのに、その辺りを考えていたのか?
この言葉を投げられても、飼い始めはどうにかなると楽観視していました。


最終的にシャロンが4年間でかかった病院代は100万円超え。
時にはバイトをしたり自分たちを犠牲にしながら金銭を工面しました。
シャロンがいたから貧乏生活に拍車がかかった部分も正直あります。
こういった面を加味できなかった点は完全に落ち度です。
その反面、誰からも文句が言われないよう行動を見せたいと決意した瞬間でもありました。
応援してくれる人のいる心強さ


父だけが無条件で私たちを肯定してくれました。
当時、泣きながらシャロンに語りかけてくれた言葉を今でも覚えています。
お前は今までたくさんの子供を産んだんだ。
次は自分の幸せだけを考えて生きるんだぞ。
連日シャロンに会いに来てくれたり、母を説得してくれたり。
途中から旦那の母も応援してくれて、シャロンの幸せを願ってくれる人が増えるたびに、
飼ったことは間違いじゃなかったと思えたのを覚えています。
シャロンが快適に過ごせる4つの努力
シャロンは1つの病気が治るとまた1つ。
一緒に生きていきたいのに、常に死を意識せざるを得ない状況でした。


私の考えていた犬との生活はもっとお気楽なものだったので、
最初のうちは理想と現実の違いに泣いてばかりいました。



このままじゃいけない!
次第に死と向き合った上で、シャロンが快適に過ごせる努力を4つ行いました。
分からないまま放置しない
保護犬はどんな環境にいたか分かりません。
年齢も推定だし、病気も何が隠れているか分からない。
見た目からして健康からかけ離れていたシャロン。


受け入れ時に把握していたこと
- 重度の歯周病
- 手の骨の変形
- 手足とお腹にタダレ
- 耳にケンカ後のケガ?
- 耳を引きちぎった痕(番号でも付けていた?)
- タジタジと脳疾患のような動き
目に見えるケガとしては耳が赤く腫れていました。
左耳は引っ張って千切れたような跡、右耳は噛まれてしまったような跡。
見た目すらボロボロなら目に見えない所には何か隠れているだろう。
些細なことも見逃さないように気を付けました。


病院にかかって分かったこと
- 帝王切開の経験あり
- 歯周病(歯を11本抜歯)
- 肝臓の1つが奇形
- 椎間板ヘルニア
- テンカン持ち
亡くなるまでの4年間、毎週のように病院に通いました。
痛みで夜寝れなかったり、泥状便、朝方に咳をし続ける。
口から泡を吹いて倒れたり、いつどうなるか分からない症状に不安が絶えませんでした。


何かあった時に駆け込めるよう、近所かかりつけを見つけておきつつも、
評判のいい病院は市外でも駆け回り、病院を探し続けました。
先生が「原因が分からない」といっても放置しない。
シャロンの苦痛を取り除くために出来る最善を尽くしました。
お留守番の時間を0にする


シャロンとは、どんなに頑張っても10年は一緒にいられない。
第二の犬生がお留守番ばかりでは到底幸せとは言えない。
ハードワークだったため、仕事を辞めました。


シャロンがお家に馴染んでからは、最終目標在宅ワークを目指しつつ仕事再開。
給料よりも拘束時間で仕事を選ぶために、融通の利く派遣になりました。
仕事や買い物に行く時間でも、必ず実家へ預ける。
寂しい時間を作らないよう絶対に1人にさせないよう決めました。
明日死んでも後悔しない


シャロンには残された時間が短いと感じることの連続ばかり。
明日死んでも後悔しない生活を心掛けました。
体調のいい日は旅行に出かけたり、カフェを巡ったり。


写真をたくさん撮って思い出を形にして。
後悔だけは残さないように考えて行動をしていました。
独りよがりにならないよう気をつける


私たちがしたいこと・叶えたいことがシャロンの希望とは限らない。
たっぷりと甘やかして、ノビノビと自然で自由な環境を心掛ける。
体調を第一に、シャロンの気持ちと私たちのしたいことをすり合わせて行動しました。
無理に人と触れ合わせない


生涯受け入れた3人
- 私(編集長)
- 旦那
- 私の父
旦那ですら引き取ってきてから1ヶ月吠え続けられ、触るとチビる状況。
知らない人が抱き上げると硬直して震えあがり失禁。
人に対する恐怖が体に染みついていると感じたので、無理をさせないと決めました。


恐怖が限界に達すると、失禁しながら吠えて噛みつくことも多かったです。
(本音を言えば、預け先の実家にいた父以外の家族だけでも懐いて欲しかったけど)
希望は全て捨てて、「人と触れ合わせない・苦手な場面を作らない」意識で過ごしていました。
シャロンが教えてくれたこと


シャロンから学んだこと
- 無償の愛をもつこと
- 死への恐怖に打ち勝つこと
- 見た目にこだわりすぎないこと
- 過去や未来を気にせず今を生きること
- 犬の一生は人間の一生よりはるかに短いこと
- 最後まで生きる気力の大切さ
言葉では表せないくらい学び、考えされられました。
シャロンの過去は過酷だったと思う
シャロンの過去は恐らく過酷だったと思います。
寝る時は必ずこの姿。
広々している場所でも無意識に手の上に頭を曲げて乗せる。


耳が噛み千切られていたことを考えても、
オリの中には多くの犬がいて、十分に休息を取れない狭さだったと考えています。
人を見て震えたり失禁するのも虐待があったのではないか。


引き取り当初は推定7歳と言われていましたが、
獣医師からは9~10歳くらいではないかと言われていました。
仮に10年苦痛を強いられる環境にいたら?私なら強いシコリが胸に残っていたと思う。


そんな中でも私たちを信じようと一歩を踏み出してくれたこと。
過去や未来を気にせず、一生懸命今を生きる姿に感動しました。
見た目で判断していた自分を恥じた


歯周病で歯を抜いて、耳毛は生えても短いし、欠けてるし。
声帯を切られて声はカスカスで、手の骨変形※。
※子犬の時にケガをして、そのまま放置されて変形が濃厚と病院判断


そもそも生きて、保護されたことすら奇跡だったのかもしれない。
そう思ったら、保護犬と出会ったばかりの私は見た目で怖気づいて!
なんと情けなかっただろう、自分を心の底から恥じました。
最後まで生きる気力の大切さ
シャロンは腎不全からの尿毒症で亡くなりました。
亡くなる数日前から様子がおかしく、不安そうに私の近くから離れませんでした。


具合が悪くなるたびに検査をしていましたが、原因を見つけられず。
亡くなる前日に急変し、尿毒症になりました。


割と早い段階で入院できたけど、それでもダメでした。
最後は本当にツラそうで見ている方が苦しくて。
入院先で横になっているのがやっとな状態でも見舞いに行くと立ち上がる。
頑張ってユラユラと尻尾をふってくれたのを覚えています。


最後は毒素が脳へ回り、目をグルグルさせたりと目を背けたくなる状態でした。
それでも生きようとする力強さ。今振り返ってもかっこいい姿です。


シャロンは私たちに無償の愛を与えてくれました。
それは最後の瞬間までも。
もうダメかも知れない、病院から引き取りの連絡が来て旦那が仕事を早退。



もう楽になっていいよ、旦那待たなくていいよ
待つ気力はない、そう思っていましたがシャロンは諦めませんでした。
ダメかも知れないと言われてから3時間頑張り、全員そろって家へ帰宅。
布団に横たわり旦那を見て、安心するかのように息を引き取りました。
病院から家に帰ってわずか3分の出来事でした。
最後に見た虹を忘れない


シャロンとお別れをした日(火葬した日)、奇跡を見ました。
晴天の日に、私たちの家の前で小さな虹が一つ。



虹の橋へ今から行くよって言ってくれてるのかもね
「明日死んでも後悔しない」そう決めていたはずなのに、
亡くなって真っ先に感じた感情は後悔でした。
それでも虹が、シャロンの人生に後悔がなかったと慰めてくれているようで。
シャロンが最後に見せてくれた奇跡だと信じています。
幸せにしてもらったのは私達だった


保護犬から飼えば、不幸な命を救える!
そう考えていたはずが、気づけば私たちが救われていました。
幸せにするつもりが、幸せにしてもらったように思います。
シャロンと過ごした思い出
シャロンと過ごした人生の節目
- 同棲
- 結婚
- 妊娠
- 出産
- 独立
同棲中、プロポーズはクリスマスの時にシャロンが指輪を運んでくれました。


結婚式はドレスを着て一緒に写真も撮りました。


いろいろなことを一緒に経験して、
柔軟に吸収していくシャロンの姿を見るのが本当に好きで。
目をキラキラ輝かせていたから、私たちまで嬉しくなりました。


出産。
シャロンは自分が一番じゃなければ、子犬にすら噛みつく子。
人間の子供も嫌いなシャロンだったから、
息子も受け入れてくれないとばかり思っていました。


一緒に里帰りしてくれたシャロンは、息子をよく見てくれました。
しつこい息子に怒ることがあっても、突き放したりはしなかった。


一緒にお昼寝をしたり、二人して悪さをしたり大変!


息子にとってシャロンがお姉ちゃんであり、先生でもありました。
ハイハイが早かったのは絶対にシャロンのおかげ。


独立(フリーランス)。
作業をする私の足元にはいつもシャロンが。
皆が寝てる時間は一緒に寝て欲しいのに、ずっと起きて待っていてくれる。


寝ればいいのに!仕方ないなぁ!そう思いながらも嬉しかった。
当時息子は0歳で、体も精神的にもツライ時期でした。
そんな時足元を見ると、シャロンがこうして目を合わせてくれました。



がんばれ!わたしがいるよ!
応援してくれているようで、力が湧いてきたのを覚えています。
たくさんの「ありがとう」を伝えたい
正直、大変でした。
心労は絶えないし、病院へ通っても苦しさから救ってあげられない悩み。
体が悪いせいで便は悪臭が酷く、部屋を掃除してもこびりつくニオイ。
私たちは常に寝不足で疲れ切っていました。


外に出ると震えて怖がるから、散歩を楽しめるようになるのすら一苦労。
想像していたハッピードッグライフとはかけ離れた現実。
悩みなく楽しめた時間というのは、本当に本当に本当に短いとは思う!


それでも本当に幸せでした。
私たちの家族になってくれたこと、選んでくれたこと。
シャロンの行動すべてが愛おしくて。
大変な生活もふくめて、キラキラ輝く思い出です。


人生の節目には必ずシャロンがいる。
一緒にいれた時間は短かったけど、濃い時間を過ごせました。
- 新しいことを一緒に挑戦してくれたこと
- 最後まで生きる気力を失わないでいてくれたこと
- 私たちに生き甲斐を生み出してくれたこと
シャロちゃん、本当にありがとう。
私たちは、シャロンのおかげで幸せでした。
願わくは、生まれ変わったシャロンともう一度出会いたい。
犬の一生は人間よりはるかに短い


犬の一生は想像以上に短いと感じました。
犬の寿命は短いから意識して時間を作らなければ、あっという間に過ぎ去ります。


最初心配していた周りの人たちからは、よく頑張ったと言われました。
シャロンのために仕事を辞めて、人生かけて自分でも本当によくやったと思っています。
それでも後悔してるし、もっと一緒に過ごしたかった。
意識して時間を作り続けていたはずなのに、タラればが浮かびます。


後悔しないって想像以上に難しいと痛感しました。
普段元気なわんちゃんだったら、自分の時間を優先している方も多いのではないかと思います。
わんちゃんがお家にいる方は、今すぐギュッと抱きしめてあげてください。
共に過ごせる貴重な時間を大切にして欲しいです。
保護犬を飼いたい方へ


最後に、保護犬を飼いたい方へ先輩ママとしてお伝えさせて頂きます。
金銭的な理由なら選択して欲しくない
金銭的な理由から保護犬を選びたいと思っている方、飼って欲しくないです。
- 子供が犬を飼いたがってるけどお金がない
- 保護犬でも子犬がいる!同じ犬なら安い方がいい
- 病気がちじゃない子を選べば安く済むだろう
- 無料で譲渡してる人からしかもらいたくない
こういった考えは大変危険です。
特に無料で譲渡された命は、手放すハードルも低くなる現実も知っています。
タダでもらった、安かったからもらった、それが必要以上にお金がかかったら?
金銭の負担が愛情薄れに繋がり、飼育放棄もありえる話です。


犬を飼っている家庭が、1ヶ月にかかる平均9,360円。
年間にして約11万円。
病気がちな犬であれば、収支がどこまで膨れ上がるか未知数です。
これは保護犬だけではなく、ペットショップやブリーダーから飼う場合も同じです。
お金が工面できないなら飼わない。飼わない選択肢も愛情の一つです。
二次飼い主を見つけておく


自分が飼えなくなった場合の飼い主を探しておく。
手放すつもりがなくても、ケガや病気で入院をしなくちゃいけないかも知れない。
人生は何が起こるか分かりません。
保護犬は一度悲しい経験をしている可能性が高いです。
幸せを経験した後に、再度悲しい思いをさせるほど残酷なことはないと私は思います。
安心して預けられる人を見つける、最悪の事態に備えておく。
保護犬を飼う時はここまでセットがいいと思います。
保護犬は幸せを運んでくれる小さな命


手のかかる子ほどカワイイのは犬も同じ!
散歩ができない、人に懐かない、病気が治らない、色々な問題がありましたが、
一つ一つ一緒に解決していく楽しみがあります。


- オシッコをペットシートで出来るようになった!
- お手・お座りなどの芸を披露してくれるようになった!
- 気付いたら一緒に寝てくれるようになった!
- 外に出ても震えなくなって散歩も克服できた!
成犬だから人間のルールを覚えないわけではなくて、
こちらが諦めなければ、その子にあった解決策を見つけて上げられれば、
一緒に乗り越えていくことだってできます。


他の人に懐かない短所も、裏を返せば飼い主だけの特別感がある。
私たちは無条件で受け入れてもらえるシアワセ。
自分の理想を押しつけずに、その子にあった生活を中心に生活していく。
全て一緒に乗り越えるから強い絆で結ばれる!
覚悟が決まれば、どんな子とも幸せになれますよ。
保護犬は難しい犬ではないし、可哀想な犬でもない。
他の犬と変わらない、共に明るい未来を歩んでくれる心強いパートナー。
あなたを待っている子に、手を差し伸べてあげて欲しいと思います。
コメント
コメント一覧 (1件)
読みながら涙が溢れてきました。私のアイコンの子は、保護犬ではないですが、事情があって引き取り手がなく、私も飼える環境になく、実家に連れて帰って飼ってもらう事になりました。
最初は永住の地に来られて良かったねと、この子に話しかけていましたが、やがて救われているのは自分達の方だと気がつきました。
どんな事があっても笑顔を届けてくれる。一緒にいる時間を楽しいと思わせてくれる。天使のようだった子を、シャロンちゃんの話を読みながら、あらためて思い出しました。